2005年05月07日

高田渡さんについて

私は高田渡さんのファンだったとは言えない。でも、何組かのアーティストが参加するイベントで何度か渡さんを観る機会があって、「あの時代のフォークの人」の中では一番身近な人だった、と言えると思う。

送る会の2〜3日前、ラジオで渡さんの特集やってるのを偶然聞いた。中川五郎さんが出演されていて、渡さんについてや、そもそもフォークとは、みたいなことについて話をされたんだけど、それを聞いて、なんかいろんな想いがぐるぐるぐるぐる回ってしまって、あーこれは送る会に行かないとな、と思ったのだ。

 * * *

専門学校の頃、私は「日本のフォーク・ロック史」について“勉強”したことがあって、高田渡さんはそのときのテキストというか参考文献で知ったのが最初だった。いつごろ、こんな時代背景の中で、こんな人が、こんな歌を歌っていて、それに影響されて出てきたのが誰々で、というふうに、自分の生まれた頃の音楽について本で“勉強”したのだった。

だけど、所詮おバカな専門学校生。そこに登場する歌を聴き集められるだけの情熱もお金もなく、肝心の“音”には全然触れないで終わった。今思えばホントあほだったなぁ。

そんな専門を卒業した春、「第4回全日本フォーク・ジャンボリー」というイベントがあった。すごいイベントタイトルだ。思い入れの深い人は怒ってるんじゃないかと思ったものだ。

出演者は、BLACKUSH、無礼男の音楽隊、KYOZO&BUN(西岡恭蔵)、友川かずき、大江慎也、シバ、アンジー、加川良、TEARDROPS、高田渡、南正人&RIVER、遠藤賢司バンド、有頂天、ラフィン・ノーズ。

…っていまちょっと調べたんだけど、私は有頂天と渡さんしか覚えてないんだよな…。あと筋少を見たようにずっと記憶してたんだけど、気のせいだったのか。

このとき聴いた渡さんの歌が「オカモト○○ゴム〜」っていう歌。あまりの衝撃にぽかーんとしてしまったよ。あの時代のフォークの人ってもっと重苦しいのを想像していたので「これがあの伝説の人?」ってショックを受けたっけ。この曲、発禁なんだそうで(笑)ひょっとしたらすごく貴重な歌を聴いたのかなぁ。

その後、90年代後半にライブに行きまくった時期、KYONとかバンバンバザールとかを追っかけまわしてた頃、…スマイリー原島さんの企画が多かったような気がするんだけど、この辺りのイベントで何度か渡さんを観る機会があった。そして、忘れられなくなってその後何度も思い出すことになったのが「鎮静剤」という歌。

  退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です
  悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です
  不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です
  病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です
  捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です
  よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です
  追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です
  死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です

凄い詩。でもこの歌は元々外国の詩で、他の人が日本語訳した詩なのだそう。曲は分からないや。渡さんなのかな?

渡さんは自分で詩も曲も書いたけど、元々ある詩と曲を合体させて歌にするというスタイルも多かったそうだ。そうして出来た歌は、誰のものでもない、高田渡の世界。中川五郎さんいわく「フォークの錬金術師」のようだったという。(中川五郎さんの日記はコチラ

その、中川五郎さんが出てたラジオで、初めて「自衛隊に入ろう」を聴いた。高田渡といえば「自衛隊に入ろう」っていうくらいの代表曲で、専門の頃読んだ本にも、その他いろんなところで、歌詞だけはたびたび見ることがあった歌。

  みなさん方の中に 自衛隊に入りたい人はいませんか
  ひとはたあげたい人はいませんか 自衛隊じゃ人材求めてます
  自衛隊に入ろう入ろう入ろう 自衛隊に入ればこの世は天国
  男の中の男はみんな 自衛隊に入って花と散る

これは反戦歌であるということを同時に教わって知ってはいたけれど、いまいちピンと来てなかったんだ。でもこれ、実際に聴いて初めて「ああこれは紛れもなく反戦歌だ」って思ったよ。何度も目にしていた詩だけど、歌になって初めて伝わるものなんだなって思ってなんだか泣けてしまったよ。

メロディだけでも伝わらない、詩だけでも伝わらないものが、歌になると伝わるっていうのがある。それってすごいパワーだよ。「歌」って凄いんだなって改めて思った。

「軟弱な時代に突入することによって、フォークは本来の姿から少しずつ角が取れて丸くなり、形を変えていった。そして、いつのまにか、ニューミュージックと呼ばれていたものが“フォーク”と呼ばれるようになってしまった。でも本来、フォークっていうのはもっと違うものだったんだ」

番組の最後の方で中川さんが言ってたのを聞いて、あー私が惹かれているのは音楽そのものじゃなくて、音楽とか歌の持つパワーなのかなって思った。あの時代のことが昔から気になっていたのも、歌がすごく強いパワーを持っていた時代だから、なのかな。

メッセージソングっていう意味じゃなくて、同じ歌を聴いても人それぞれ受け取るものが違ったり、人それぞれが持っている想い出によって、違う感情がブワッと込み上げたりする。うん、パワーっていうより、歌によって動く感情っていうか、なんかもう分からなくなってきたーー!

うーん、だからそういう、歌を作る人を心から尊敬するし、歌を聴いて涙するファンもステキだと思う。アーティストの作品そのものよりも、ライブにより魅力を感じるのは、そういうことなのかもしれないなぁ。

***

…というようなことを、ぐるぐるぐるぐる考えているのだよ。なーんか、渡さんというより自分語りになってしまったのだけど、渡さんをきっかけに、いくつかのことが腑に落ちたんだ。これも渡さんのおかげなのだ。渡さん、ありがとうーー!
posted by あや at 11:20| 東京 ??| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽
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